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HCIの寵児NutanixのPMキーマンが明かす
真のクラウド用データセンターを構築する方法論

HCIの寵児NutanixのPMキーマンが明かす 真のクラウド用データセンターを構築する方法論

Nutanix(ニュータニックス)は、2011年に「ハイパーコンバージドインフラストラクチャ」(以下、HCI)と呼ばれる仮想化基盤市場を作り出し、現在も業界を主導するリーディングカンパニーです。スケールアウト型のクラスターアプライアンス上に展開された単一のx86ベースのサーバに、ストレージ機能や仮想化機能を単一ソリューションとしてネイティブに統合し、GoogleやAmazon.comなどと同じWebスケールテクノロジーを利用して次世代エンタープライズコンピューティング用のインフラストラクチャーを提供します。世界で最も先進的な企業のデータセンターは、あらゆるスケールでのミッションクリティカルなワークロードを実行するためにNutanixを利用しているといっても過言ではありません。

最近では、このHCI市場にVMwareやHPE、Hitachi Data Systemsなどの大手各社も参入し始める中で、Nutanixも新しい仮想化基盤用のソフトウェアと管理ツールをリリースし、新ブランド「Nutanix Xtreme Computing Platform(以下、XCP)」を展開してさらにリードを広げようとしています。

そこで、今回はNutanix XCPの市場拡大のために来日した、Nutanix, Inc. プロダクトマネジメント部門 ディレクターのラグー・ナンダン(Raghu Nandan)氏に技術戦略と今後の方向性について話を聞きました。

VDIをうまく実現できるというウワサをきっかけにNutanixと出会う

Q:ラグーさんは現在、Nutanixのプロダクトマネジメントディレクターとして忙しく世界各国を回られていますが、自己紹介を兼ねてどのような経歴をお持ちなのかお聞かせいただけますでしょうか。

ラグー氏:私はかれこれ15年以上テクノロジー業界で仕事をしてきましたが、最初はintelのエンジニアとしてキャリアをスタートさせました。途中、ビジネススクールで学び直してMBAを取得するなどしていましたが、その後復帰し、当時スタートアップだったNetScalerにプロダクトマネージャーとして再就職しました。実はその時が日本の代理店だったマクニカネットワークスとの最初の接点になったんですね。

2004~2005年頃はNetScalerのロードバランサ(負荷分散装置)が非常に好調で、ご存じのように同社はCitrixに買収されましたが、その後も私は10年ほどさまざまなプロダクトを扱ってきました。SSL-VPN、シングルサインオン……、もうなんでも。特にモバイルセキュリティのソリューションであるXenMobileの製品にも深く関わってきました。

Q:NetScalerの時代に当社をご存じになったのですね。では、Nutanixとの接点はどんなことがきっかけだったのでしょうか?

ラグー氏:当時、Citrixでキャリアを積んでいた時にVDI(デスクトップ仮想化)が非常に注目され始めました。しかし、VDIはワークロードが非常に複雑なため、インフラ側の設計を正しく行わないとプロジェクトが失敗してしまう確率が高まります。その時にNutanixが登場し、その革新的な技術の上でXenDesktopやXenAppなどを実行するとVDIをうまく実現できるというフィードバックをお客様から数多くいただいたことから、Nutanixに注目し始めました。

さらにNutanixを深く分析してみたところ、HCIという合理的な思想が非常にユニークであることがわかり、今後エンタープライズのデータセンターを構築していく唯一のやり方は、このNutanixのアーキテクチャしかないとも感じました。

そこで、2015年の前半にNutanixに転職し、そのアーキテクチャを使って次世代のエンタープライズデータセンターを構築することを推奨する仕事に就こうと考えたわけです。それから1年ほど経ちますが、非常に忙しくもエキサイティングな日々だったのでとても短く感じましたね。

仮想化とクラウドがもたらしたデジタルディスラプション

Q:ラグーさんが多忙なのは、世界的にHCI市場の成長が著しいからだと思います。なぜここまでHCIが注目され、必要とされているのか、その要因をラグーさんはどのように分析されていますか?

ラグー氏ラグー氏:今、企業全体で2つの現象が連続して行われていると思います。1つは、仮想化の普及による通常のインスタンスから仮想のワークロードへの転換です。それによりサーバの統合やコストのコントロール、オペレーションの管理、パフォーマンスの向上が実現しました。

2つ目は、仮想化を使って実現するクラウドコンピューティングの普及です。Amazon Web ServicesやMicrosoft Azure、Google Cloud Platformなどの成功を見れば分かりますが、単なる仮想化の活用というだけではなく、それらが新たなフロンティアを開拓したことで、ジャスト・イン・タイムにデプロイメントが可能な生産性、キャパシティスペースを増減できる柔軟性、リニアな拡張を迅速に実現する俊敏性などが向上しています。

そして、そうした現象によってデジタルディスラプション(既存技術の創造的破壊)が起こりつつあります。仮想化のテクノロジーのほとんどは高価な特化型のハードウェアに依存せず、SDx(ソフトウェア定義型)のコンポーネントで成り立っており、さまざまなテクノロジーの技術革新が実現されているからです。

しかし同時に、クラウドコンピューティングの台頭によって、企業は次のワークロードをどこで運用すればいいのか、非常に高度な判断が要求されるようになりました。このままデータセンターのキャパシティを増強し続けるのか、あるいはパブリッククラウドを利用するのか……。

NutanixのHCIが提供できる最大の価値は、SDxのコンポーネントやクラウドコンピューティングの技術を融合して、データセンターの中にエンタープライズレベルのプライベートクラウドを作っていくための方法論を提供できることです。それも、複雑なアーキテクチャやレガシーブロックをつかって構築するのではなく、Nutanixのシンプルなアーキテクチャで真の意味でのクラウド型データセンターを構築できるのです。

データセンターの抱える問題を解消するキーワードは“インビジブル”

Q:Nutanixは2009年の創業以来、HCIの市場を牽引してきた実績がありますが、現在は競合企業やベンチャーなども台頭しつつあります。それをどう感じていますか?

ラグー氏:HCI市場の発展において競合が存在することは歓迎すべきことだと思っています。より正直に仕事ができますし、なにより健康的です。しかし、当社はどちらかといえば競合に競り勝つよりはお客様を喜ばせることに注力しているので、その思いを持ち続けていれば今後も良いポジションを維持できると信じています。

スティーブ・ジョブス氏が2005年6月にスタンフォード大学の卒業式辞の最後に語った“Stay hungry, stay foolish”という言葉はNutanixの企業文化にも当てはまることであり、常にお客様からのフィードバックに素直に耳を傾け、批判に学び、決して満足せず、お客様に喜びを与えるためによりよい製品を開発することをモットーにしています。そのためには、お客様はもちろん、マクニカネットワークスのような信頼のあるパートナー企業からのフィードバックも重要な要素であり、決して自分達が常に正しいのだという思い込みはしないように心がけています。

Q:お客様に支持されているNutanixの独自性とはなんでしょうか?

ラグー氏:Nutanixはデータセンターの抱えている問題に3段階でアプローチをしようとしています。キーワードは“インビジブル”です。第1にストレージをインビジブルにする。第2に仮想化をインビジブルにする。第3にクラウドをインビジブルにすることです。インビジブルとは、あえて見えない場所で機能させることで技術の複雑性を意識しなくて良い存在にし、データセンターに存在する複雑な問題をシンプルにしていくことを意味します。

つまり、インフラをインビジブルにすることで、ストレージの管理を容易にし、Nutanixに最適化されたハイパーバイザーを利用することで仮想化プラットフォームの複雑性を解消し、統合化されたダッシュボードでプライベートクラウドからパブリッククラウドへのマイグレーションを可能にします。それにより、企業のITスタッフがその管理業務から解放されて、本来のワークロードやアプリケーション開発に集中できるようになるわけです。

それを実現するために2つの大きな領域から差別化しています。1つは「Webスケールエンジニアリング」。ジャスト・イン・タイムなプロビジョニング、リニアなスケーリング、分散型アーキテクチャなど、インターネットやクラウドサービスを提供するGoogleやFacebook、Amazonなどの大企業で培われたWebスケールテクノロジーおよびアーキテクチャを一般的な企業でも使用できるようにするものです。

もう1つは「コンシューマ・グレート・エクスペリエンス」。これは、ITインフラの管理をまるでスマートフォンのようにワンタッチ、ワンクリックだけでオペレーションできるシンプルなコンシューマ製品クラスの管理機能を意味します。

この2つのコンセプトが1つになることで、ライフサイクル全体をスケーラブルかつ汎用性・復元性の高い非常にパワフルなITインフラストラクチャーを提供することが可能になります。

データセンターの複雑性に対応する答えがNutanix XCP

Q:Nutanixは2015年6月に、仮想化基盤用のソフトウェア「Acropolis」と管理ツール「Prism」を発表し、それらを新ブランド「Nutanix XCP(Xtreme Computing Platform)」として再構築しました。これらは具体的にどのようなメリットをもたらす技術なのでしょうか?

ラグー氏ラグー氏:私たちは、ストレージの複雑性を解消したしたことで、次にデータセンターの複雑性に対してどのような対応が求められるかを考えました。その答えが、アーキテクチャの一部に仮想化を統合する基盤としてのNutanix XCPでした。

Acropolisには、「分散ストレージ機能」と「仮想マシン管理」、「Acropolis Hypervisor」の3つの機能があります。分散ストレージ機能は、サーバに内蔵されたHDDやSSDを1つの仮想的な共有ストレージとして統合する機能です。また、仮想マシン管理機能としては「App Mobility Fabric」(AMF)と呼ばれるクロス・ハイパーバイザー環境での可用性向上やDR(災害復旧)の実現、ハイパーバイザーからコンテナやハイブリッドクラウド環境へのシームレスなパスを実現する機能などが提供されています。

さらに、KVMをベースとした独自のAcropolis Hypervisorも用意することで、商用のハイパーバイザーのライセンスを購入しなくてもNutanixの機能を利用できる環境が整いました。これにより、クラスタのセットアップも数分のオーダーで可能になり、VMwareのプロビジョニングやハイアベイラビリティのプロビジョニングも瞬時にできるようになります。

最新版の「Acropolis 4.6」では新たに「One Click Hypervisor」という機能が加わり、インプレイス・ハイパーバイザー・コンバージョン、つまりVMware vSphere ESXiなどの仮想マシン(VM)を、KVMのAcropolis Hypervisorにワンクリックで変換できるハイパーバイザー間のVM移行を実現しています。

一方、Prismは現在「Prism Pro」として進化しています。これをAcropolisと組み合わせることでストレージ、仮想マシン、ワークロードをまとめて管理でき、ワンクリックでメンテナンスからトラブルシュートまでデータセンターの管理を簡単に実現するように工夫しています。アプリケーション、ゲストOS、ストレージ、ネットワークエレメントまで一貫して見通せるようになったことで、トラブルシューティングやキャパシティ計画、情報検索、ハイパーバイザーのライフサイクル管理なども簡単に実行しやすくなりました。

Q:Nutanix XCPはお客様にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?

ラグー氏:ストレージレイヤの技術革新としては、これまでも独自の分散ファイルシステム技術を活用することでWebスケールITを実現してきましたが、Acropolis 4.6ではこれまでのようなブロックストレージをさらに拡張するように機能強化されています。これがあればNutanixの中でファイルスキャンが実行されるためNASを外に置く必要はありません。

また、「File Self-service Restore」(セルフサービス型のファイルリストア機能)では、お客様自身でファイルのリストアができるため、リストアのパフォーマンスを劇的に向上させることが可能になります。

他にも、エンタープライズクラウドの構築を支援するデータセンター管理やキャパシティモデリング、障害復旧、インフラにおけるDevOpsのオートメーションなどの分野に注力しています。

さらに、Acropolis 4.6で提供される「Nutanix OpenStack drivers」という機能では、Nutanixを既存のOpenStack環境に簡単にプラグインしていただくことができ、Prism Proを使ってインフラの管理をしつつ、OpenStackの利点であるプライベートクラウドのオーケストレーションやオートメーションを実現します。これは特に日本市場にも向いている機能だと考えています。

クラウド化の進展に伴うデータセンターのコンバージド化はNutanixのチャンス

Q:このウェブマガジン「LANchBOX」は、技術と人が交わる「場」をテーマにしていますが、ラグーさんにとって好きな「場所」とはどこでしょうか?

ラグー氏:おもしろい質問ですね(笑)。好きな場所はたくさんあって答えるのは難しいのですが、昨年11月に休暇で訪れたオーストラリアのグレートバリアリーフもそのひとつです。当初は、何日も会社を不在にすることが大変不安だったのですが、ダイビング用の遊覧ボートにもWi-Fiが備わっており、全長2600kmもある珊瑚礁のど真ん中で何の問題もなくインターネットが使えたのがなんとも拍子抜けでした(笑)。休暇中も仕事ができるのは嬉しいのか悲しいのかは分かりませんが、テクノロジーの進化がもたらした価値であることは間違いないと実感したバケーションでした。

Q:世界のどこにいても自分の場を作ることができるというのは、ラグーさんのように多忙な方の共通の意見です。好むと好まざるとに関わらず、世界のどこにいても仕事ができる環境を作ってしまうのは、現代のリーダーの宿命ということでしょうか(笑)。最後に、日本国内の代理店であるマクニカネットワークスに期待することとはなんでしょうか?

ラグー氏:ぜひ、私たちが正直な仕事ができるようにお手伝いをしていただきたいと思っています。お客様との最初のタッチポイントは代理店さんが頼りなので、常にお客様からの正しいフィードバックがあればそれに誠実に向き合って仕事ができるようになります。

また、ビジネスの環境としてはクラウド化の進展に伴ってデータセンターのコンバージド化が進みつつあり、Nutanixにとってもチャンスが広がっています。今後は、お客様のビジネスが成功するように、エンタープライズデータセンターのコンバージド化や改革などを中・長期的なスパンで支援していく考えです。そのためにもお客様からのフィードバックが重要になるので、マクニカネットワークスの活動に期待しています。

Q:私たちも同じ思いです。本日はさまざまなご意見をいただきありがとうございました。

ラグー氏

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