特集

最新のIT技術情報や旬な話題をお届けいたします

半導体とネットワークを有機的に融合したIoTを提案
技術商社マクニカグループならではの取り組み(後編)

半導体とネットワークを有機的に融合したIoTを提案、技術商社マクニカグループならではの取り組み

※(株)マクニカ グループ戦略企画本部 イノベーション推進統括部
 Mpression推進部 部長 長島 資記 氏(写真:左)

※(株)マクニカ グループ戦略企画本部 イノベーション推進統括部
 ストラテジックマーケティング推進部 マーコム戦略推進室 江川 慎一郎 氏(写真:中)

※(株)マクニカ グループ戦略企画本部 イノベーション推進統括部
 Mpression推進部 メイカーズ事業推進室 小山 貴士 氏(写真:右)

膨大なセンサーデータを収集し、デジタルデータに変換した後に効果的にクラウドに転送して蓄積し可視化することで、自社の課題を解決し、何らかのアクションを起こしていくことがIoTの目的です。マクニカはIoTに最適な半導体やセンサーデバイス類を数多く提供しているほか、無線デバイス、ゲートウェイ、セキュリティ、データセンターソリューション、情報を可視化する解析・分析ツールなどあらゆる階層をつなぐIoTを提案しています。それが「Mpression」ブランドです。
 
今回は、株式会社マクニカの長島資記氏、小山貴士氏、江川慎一郎氏の3人のキーマンに、ブランド立ち上げの目的やIoTの効果的な活用方法などについて話を聞きました。

【前編はこちら】

https://www.macnica.net/lanch/lanch2015/sp06.html

デバイスから接続・クラウド・分析まであらゆる階層をつなぐIoTを提案

Q:成り立ちが複雑で、その構成要素も乱立しているIoTですが、ではIoTでいったい何が可能になるのでしょうか。

長島氏:膨大なセンサーデータを収集し、デジタルデータに変換した後に効果的にクラウドに転送して蓄積し、分析できる形に可視化する。その可視化されたデータをもとに、自社の課題を分析し、何らかのアクションを起こしていくことで、リアルなフィードバックにつなげていくことがIoTにできることです。

具体的な例を挙げると、すべての自動車がネットに繋がっていると仮定して、ある地域で一斉にワイパーが動き始めることが感知されると、その地域は雨が降っていることが分かるという仕組みが考えられます。ワイパーの速度が早ければ雨が強く、間欠ワイパーなら小雨という具合です。その強弱を可視化すればゲリラ豪雨なども詳細に予測ができ、地域への警報を効果的に発することもできます。また、工場の機械やベルトコンベアーがインターネットにつながると、消費者がWeb上で好みの仕様に商品をカスタムオーダーできるようになり、しかも翌日に配送されるようになる世界も実現できるかもしれません。

小山氏:そんな世界の実現を考えると、IoTとマクニカ/マクニカネットワークスは非常に相性の良い組み合わせだといえます。マクニカはすでにIoTに最適な半導体やセンサーデバイス類を数多く提供しているほか、センサーから生成されるデータを発信する無線デバイス、データを回収するゲートウェイ、データを安全に流通させるセキュリティ製品、データを蓄積・制御するデータセンターソリューション、データを分析して価値ある情報に可視化する解析・分析ツールなど、マクニカグループ全体でデバイスからゲートウェイ・クラウド・分析まで各階層をつなぐソリューションを提案しています。

IoTとマクニカ/マクニカネットワークスは相性の良い組み合わせ

図1. IoTとマクニカ/マクニカネットワークスは相性の良い組み合わせ

「Mpression」(エムプレッション)は、マクニカグループが技術商社として培ってきた様々な技術ノウハウを詰め込んだソリューションをブランド化した商標で、評価・開発用キットやIP(Intellectual Property)・ソフトウェア、レファレンスデザイン・デモ、受託開発、コンサルティング、さらには量産支援までをサポートします。

「Mpression」のトップページ
図2. 「Mpression」のトップページ(http://www.m-pression.com/ja/home

江川氏:マクニカグループは技術商社を標榜しておりますので、製品のデリバリーだけではなく、知見の豊富な技術者が思いついたアイデアを実際のモノにするまでしっかりとサポートしていく仕組み作りとノウハウの蓄積がMpression立ち上げの目的でもありました。特に IoT 製品やシステムを検討したいと考えるお客様は、ハードウェアではなくソリューションを売ろうとしており、やりたいコトをお持ちです。それらのお客様にまずは簡単にプロトタイプを開発し、モノづくりを経験したことのないお客様もハードウェアの開発ができる様、オープンな開発環境を提供することもしています。

IoT機器の開発を目指す「メイカーズ」に開発キットを提供

Q:Mpressionとして提供しているIoT ソリューションにはどのようなモノがあるのでしょうか?

小山氏:はい。その一例をご紹介しましょう。IoT環境発電ワイヤレスセンサーネットワーク端末「EH-Terminal」は、屋内での光発電と二次電池を活用し、屋内の温度、湿度、照度などのデータを定期的に、かつ電池交換せずにクラウドからモニタリングできる端末です。

Mpressionのアプリケーションの例

図3. Mpressionのアプリケーションの例

また、Bluetooth SMARTモジュール「Koshian?」(コシアン)は、IoT機器やウェアラブル機器の開発を目指す「メイカーズ」に対し、ハードウェアの設計を必要とせず、容易にラピッドプロトタイピングを可能にする開発キットです。ユカイ工学株式会社が開発したiPhone/iPadのためのフィジカル・コンピューティング・ツールキット「konashi」(コナシ)のベースボードやkonashi 小型化拡張ボードに実装し、Java script でハードウェアの開発が可能です。ハードウェア開発者でなくとも簡単に使用することができるほか、単体でもブレッドボードやユニバーサル基板へ実装することが可能となっています。

さらに、IoTセンサーシールド「Uzuki」(ウズキ)は、KonashiやArduino※1のシールドとしてI2C(Inter-Integrated Circuit)通信方式で接続することができ、3軸加速度センサー、温湿度センサー、近接照度UV指数センサーによりシールドを設置した周囲の温度、湿度、照度、赤外線レベル、UV指数等の環境変数や、振動・衝撃の検知や近接センサーによる物体検出などの情報をiOSデバイスで活用できます。加えて、こうしたセンサーデバイスからの膨大なデータをマシンデータ分析プラットフォーム「Splunk Enterprise」で収集・分析・可視化し、ビジネスの課題に役立てるという流れです。

(※1)Arduino:手軽に電子工作やプログラミングを楽しむことができるマイコン開発キット

アプリケーションの IoT 化事例を作りアイデアや需要を喚起することがIoTでは重要

江川氏:実際に、コンシューマ向けのコーヒーマシンにKoshianをビルトインしたデモ機を作り、iPhoneなどからBluetoothRでコーヒーをいれるデモも行っています。

今後、IoT のセンシング技術を応用してマシンの可動状況を可視化することでユーザの利便性だけではなく、コーヒー豆や副商材を提供するサービスベンダー側のマーケティングにも活用できる可能性があります。IoTを取り入れたいという企業のニーズは多いのですが、具体的に何をしたらいいのか答えを出せないケースも多く、このようなアプリケーションを作ってIoT の事例を分かりやすく見てもらうことで、アイデアや需要を喚起することが今後のIoTソリューション提案では重要だと思っています。

Q:Mpressionは開発者のアイデアを引き出すブランドということですね。

小山氏:今後は、非接触で指の動きを検知するジェスチャーセンサーを搭載したセンサーシールドなども発表する予定があり、こうした開発キットのバリエーションを増やしていくことによって、メイカーズの方々のアイデアを引き出すようなユニークなソリューションを提案していきます。ご期待ください。

長島氏:Mpressionではセンサーデバイスや開発キットを開発する際に、使う側のサービス展開までを意識してものづくりを進めています。そして、センサーやツールキット、ゲートウェイ、セキュリティ、分析プラットフォームなどを一連で提供し、お客様の想定する実用に近い形で提案していきたいと考えています。

センサーから分析プラットフォームまで提供しお客様の想定する実用に近い形で提案

図4. センサーから分析プラットフォームまで提供しお客様の想定する実用に近い形で提案例

IoTの最終形態は人間の勘とひらめきを落とし込む機械学習にあり

Q:IoTの世界ではさまざまなモノがつながっていくことで、膨大なデータが無尽蔵に蓄積していくことを意味するため、現在の情報システムで耐えられるのか心配になります。

長島氏:それは重要なポイントです。今のままでは非常に厳しいでしょう。今後はIoTに最適化されたインフラが絶対に必要になると考えています。例えば、極小パケットを大量に扱えるネットワーク、メタデータと紐付けされたセンサーデータを大量に蓄積するストレージ、目的に合わせ自由にアジャイル(俊敏)に組み合わせ可能なコンピュート、デバイスとサービスを有機的に連携するシステムなどが実現しなければ、IoTは目の前のキャズムを超えることはできません。

特に今後は分析力が問われてきます。1兆個のセンサーから集まってくる超巨大なデータをどうやって分析するのか。そのためのキーワードは「機械学習」です。機械学習とは、明示的にプログラミングすることなくコンピュータに行動させるようにする技術のことで、数値・文字・画像・音声など多種多様なデータの中から規則性・パターン・知識などを発見し、自動的な現状把握や将来予測に役立てることを目的としています。

膨大なセンサーから収集されたデータをリアルの世界にどう反映させてゆくのかがキーポイント

図5. 膨大なセンサーから収集されたデータをリアルの世界に
どう反映させてゆくのかがキーポイント

マクニカグループでは、蓄積したビッグデータの機械学習というテーマで、機械学習のアルゴリズムをロジックに落とし込むノウハウなどを持つ企業と協業しソリューションを拡充してゆきたいと考えています。IoTの最終形態がここにあると確信しています。

具体的な手段の一つに、データセンターにFPGA(Field-Programmable Gate Array;動的にプログラムの書き換えが可能なゲートアレイ)を活用する方法があります。既にFPGAベンダーの「Altera」では、HDL(ハードウェア記述言語)を使わずOpenCL(C ベースのプログラミング言語を使用してヘテロジニアス・システムを実行可能なコードを開発する統合プログラミングモデル)を利用可能なSDKを提供し、機械学習の実現を支援しています。

ポイントはIoTで何をしたいのかを具体的に明確化にすること

Q:IoTのインフラが構築できたならば、その後はどのように活用していけばいいのでしょうか?

長島氏:センサーデータを集める仕組みだけではIoTは不十分です。センサー情報を集約したことによりさまざまな情報が丸見えになるので、セキュリティをどのように担保するか、悪用を防ぎ社会のためにデータをどう活用していくかが問われます。

また、IoTに取り組んでみたい、IoTで業績をアップしたいという漠然とした動機だけではなく、IoTで何をしたいのかを具体的に明確化にする必要があるでしょう。もしそのイメージが曖昧ならば、ぜひマクニカグループのMpression推進部に連絡をいただき、ビジネスの中でどんな使い方ができるか、なにをすべきかを一緒に考えていければと思っています。マクニカとマクニカネットワークスは、センサー、収集・演算、転送、蓄積・制御、解析・分析、セキュリティに至るまで、半導体とネットワークを有機的に融合したソリューションを提供できる日本でも稀な技術商社ですので、私たちのような多様性がある技術商社を活用し、お客様の素晴らしいアイデアを実現していただきたいと思います。本日の内容に興味を持って頂けたなら、ぜひ11月18日からパシフィコ横浜で開催される 組込み総合技術展 (ET展) のマクニカブース(ブース番号:A-16)に足をお運びください。本日お話した内容を実際に動作しているモノでお見せします。

組込み総合技術展についてはこちらをご覧ください。

今後は、マクニカグループの総力を挙げてIoTのモノづくりとサービスの提案を同時に実現し、IoTのさらなる普及に貢献したいと考えています。

Q:分かりました。本日はありがとうございました。

いつか見た景色 from Staff's Albums