特集

最新のIT技術情報や旬な話題をお届けいたします

国が違えば文化や商習慣は違うもの。
だからこそ私の仕事は面白い!

加 オープンテキスト社 コネクティビティ ソリューション グループ ディレクター John Chan氏

仕事で人と会う機会が多い方もそうでない人も、ビジネスに欠かすことのできないIT業界にはいろんな方が関わっています。技術に秀でた人からコミュニケーション力の高い人まで、そのプロフェッショナルなスキルは千差万別。でも、そこにはやっぱり “人”がいるのです。そんなIT業界で働くプロフェッショナルな人々にスポットを当て、技術と人の交わりを再発見する「インタビュー」コーナー。普段の仕事内容はもちろん、IT業界で働き始めたきっかけや仕事における驚きのエピソード、オフの過ごし方や家族に対する思いなど、その人物の魅力に迫ります。

[今回インタビューした人]

加 オープンテキスト社
コネクティビティ ソリューション グループ
ディレクター John Chan氏

コンテンツ管理ソフトウェアを中心にビジネスを展開するカナダのオープンテキスト社で、コネクティビティ製品に関するアジア・太平洋地域におけるビジネス開発を担当。ICチップを設計するエンジニア出身だったが、現在はAPAC全域を管轄するディレクターとして世界中を飛び回っている。妻と大学生の息子の3人家族。

豊富な経験が“パズルのピース”として今に活きる

Q:これまでどんなお仕事をされてきましたか?

A:設計のエンジニアリングにおける学位を2つほど持つ技術畑の人間です。社会に出た時はデスクワークが中心となる設計の仕事に従事したのですが、以前から人と接する仕事にも関心がありました。また、働き始めた頃は小さなパーツの設計を行うことを生業としていたこともあり、大きなプロジェクトに関わる機会の少なさにフラストレーションを感じていたことは確かです。そこで、キャリアアップも含めて人と接しながら仕事ができる環境を求め、カナダにある銀行のシステム部門に転職することを決意しました。この銀行の情報システム部門でマネジメントを学びながら、会計部門では財務知識を手に入れるなど、様々なキャリアを積む努力をしてきました。

Q:では、現在のお仕事と出会ったきっかけはどんなことだったのでしょう?

A:銀行の情報システム部門にいると、多くのITベンダとの接点が生まれます。実はそのITベンダの担当者の一人に「あなたは交渉が上手だが、エンジニアというよりも営業向きなのでは?」と指摘されたのです。それが現在の仕事をすることになったきっかけと言えるでしょう。今では、これまでの経験があったからこそ、ビジネスに求められている要件やお金に対する要望など、様々な角度から物事を冷静に見ることがでるようになったのです。いわば「パズルのピースをそれぞれ理解した上で全体の絵に当てはめるような」ものです。

Q:現在の仕事内容を具体的に教えてください。

A:オープンテキスト社のコネクティビティ製品「Exceed」シリーズに関するアジア・太平洋地域におけるビジネス開発を担当しています。UNIXやLinuxをWindows上から操作できるPC Xソフトウェア「Exceed」は、高信頼性で実績も豊富なツールとして評価をいただいており、世界ではおよそ75%のシェアを持つまでに成長しました。四半期に一度ですが、この「Exceed」に関する事業計画やアイデアの共有などを行うべく、アジア・太平洋地域の様々な国に出張しています。また、R&D部門の担当者をユーザに同行させ、現場のニーズを研究開発部門へフィードバックすることも重要な業務の1つになります。

John Chan氏

左右に振るのは同意のサイン?異文化に触れる面白さ

Q: APACでの仕事の進め方に違いは感じますか?

A:やはり国が違えば文化や商習慣の違いを痛感しますね。だからこそ面白みを感じるのです。例えば、インドでは相手の発言に同意するときには、頷くのではなく頭を左右に振ります。つまり、言葉だけでなくジェスチャーも理解しないといけないのです。また、インドでは白い花を贈ると追悼の意味になってしまいますし、中国では黒い色のものを相手に贈らない習慣があります。これは文化的背景の違いが大きく影響しているためでしょう。

Q:文化の異なる様々な国がAPACにはあるとのお話ですが、ビジネスをする上で心掛けていることは何ですか?

A:一番心掛けているのは“安全”です。日本やシンガポール、オーストラリアでは、一人で夜の街を歩いても不安はありませんが、夜一人で外出するのが難しい国もアジアにはまだあります。外出そのものが危険だという国もあるので、安全面は常に心掛けています。また、その国の文化を尊重することも忘れてはならない重要なポイントです。意図的でなかったにしろ、行動や言動で相手を傷つけたり侮辱したりすることがないように気をつけています。そのためにビジネスに失敗した例を見てきていますから。

Q:日本は欧米に比べ、商習慣など独特な面を感じますか?

A:はい、欧米とは異なります。商習慣が非常にフォーマルな面が特徴でしょうか。しかし、個人的にはそれほど驚きは感じませんでした。実は私の妻が日系人(ジャパニーズカナディアン)のため、普段から日本の文化に慣れ親しんでいる部分があり、ある程度予想できる範囲だからです。義理の両親と伝統的な日本の正月を毎年一緒に過ごしていますし、妻とは京都や奈良、日光など伝統的な都市へ旅行したこともありますし、アジアの中でも重要な市場として日本はとらえていますので、ビジネスでも四半期ごとに訪れています。また、以前はソニーカナダに勤務していたこともあり、日本の文化に触れる機会が多かったのも1つの要因だと思います。訪日した回数はすでに数えきれませんね。

Q:ちなみに成長著しい中国はどんな状況ですか?また日本との違いは感じますか?

A:日本ほどではないにしろ、中国もフォーマルな商習慣ですね。最近は中国企業も外に門戸を開いていて、急成長を続けていることはよくご存じでしょう。深圳(シンセン)にあるEDIツール最大手企業が入居するビルはモダンなフレンチスタイルですし、北京や上海など急速に発展を続けている都市も増えています。 他の国々を見ても、やはり日本との違いは鮮明です。特にフィリピンやインドなど貧富の差が顕著に表れている国などでは、超富裕層と超貧困層が隣り合っています。映画「スラムドッグ$ミリオネア」の舞台となったスラムには訪れたことがありますが、やはり悲しい気持ちになりますね。

Q:ちなみに成長著しい中国はどんな状況ですQ:ビジネスパートナーとしてのマクニカネットワークスはどう感じていますか?

A:マクニカネットワークスさんとはハミングバード社時代からすでに10年あまりのお付き合いになるのですが、とてもプロフェッショナルな企業で優秀な方が数多く働いているという印象です。特にここ2~3年はチームとして大変良好な関係を築かせていただいています。会議に臨む文書の準備やオープンな話し合いができる雰囲気作り、これまでとは違うやり方を積極的にチャレンジする姿勢など、プロフェッショナルな面が多々見られます。また、20年前から今のビジネスの成長を見れば、そのプロフェッショナルさは明らかです。他のソフトウェアサプライヤーからも同様の評価を聞き及んでいます。

実は、このExceedに関するローカライズ、つまり日本語化を外部にお願いしているのは、世界でもマクニカネットワークスだけです。日本語化を行うためには当社の開発チームとともに製品開発に関わっていただく必要がありますし、技術スキルがないとお願いできる代物ではありません。日本独自の要望に対応する細かな仕様にも対応していただけています。他の国でも外部パートナーによるローカライズの要求がありますが、いまだに実現していないことからも、マクニカネットワークスの技術水準の高さが伺えます。

John Chan氏

優秀な営業の条件とワークバランス

Q:過密スケジュールでAPAC全域を行き来されているようですが、ご多忙の中でも仕事を楽しむコツは何ですか?

A:多忙なスケジュールは自分で立てているもので、人から与えられているわけではありません。私はチャレンジすることや克服することが好きなタイプに分類される人間で、できるだけ詰め込んでたくさんのことを実現する、達成することが満足感に繋がるのです。このような資質こそが優秀な営業であるかどうかを決める基準になると考えています。もちろん、多くのことを詰め込んだほうが早めに出張も終わりますし。

Q:それでは、あなたにとって家族の存在はどんなものですか?

A:人生においては3つの重要なことがありますが、その1つが家族です。2つめは仕事になりますが、この両者の間のバランスはきちんと取っておかないといけません。最近は日本の方と同じようにハードワークをこなす欧米人も増えており、私も同様に平日はしっかりと働いています。ただ、金曜日の17時を回った時点で仕事をピタリと止め、あとは家族との大切な時間にしています。ちなみに、最後の1つは自己啓蒙やチャレンジ精神が重要な要素になります。

Q:このオンラインマガジンは、技術と人が交わる「場」をテーマにしています。そこで最後の質問ですが、あなたにとって好きな「場所」はどこになりますか?

A:四季折々の風景を見せてくれるカナダの大自然に大きな魅力を感じます。私はトロントに住んでいますが、郊外にある私の家の裏は峡谷に面していて、周囲に人が住んでいません。そのため、カーテンすら我が家にはないのです。でも、朝食をとりながら雪化粧された木々を眺める、とっても贅沢なひと時を過ごすことができます。今の家に住んで20年ほど経つのですが、先日初めて野生の鹿を見て興奮したのを覚えています。やはり私にとって自然の中は大切な場所と言えるでしょう。

John Chan氏

いつか見た景色 from Staff's Albums