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Mimosa NearPointのExchange 2003 → 2007マイグレーションへの活用術

SIerの為の実践講座 Mimosa NearPointのExchange 2003 → 2007マイグレーションへの活用術

本講座は、ITエンジニアの為の明日から役に立つシステム構築スキルや技術・製品スキルなどをご提供します。まだお客様へご提案したことがない製品や技術でも、ポイントを押さえた実務知識を短時間に把握したい方にお勧めです。

【今回の講座】

最近、Exchange2003からExchange2007へのマイグレーションプロジェクトが増えています。しかし、マイグレーション作業は非常に時間がかかり、非常にハードな仕事です。今回は、Mimosa NearPointと連携することでマイグレーション作業を効率的に実施する方法について、具体的なマイグレーションの課題などを交えながら説明します。

By 小池 泰治
Macnica Networks Corp.

「最近、徹夜続きで、、、もう身体がもたないよ。。。」

そのSEは、溜め息交じりに上記のような言葉を発した。徹夜続きのせいか、その顔はすっかりやつれ、目の下にはうっすらと黒いくまが浮かび上がっていた。

上記は、私の知人SEの実際の話です。土日返上、平日は徹夜作業で毎日のようにExchange2003からExchange2007への移行作業を行っていたようです。結果的にExchangeのマイグレーション作業は正常に完了したのですが、寝不足に加え、長時間の作業にすっかり疲れ果ててしまっていました。なぜ、このような状況に陥るのでしょうか?

そこで、企業にとって大イベントであるExchangeのマイグレーションにおける実際の手順とその課題からまずは見ていきます。

Exchangeマイグレーションの手順と課題

Exchangeのマイグレーションの通常の手順

Exchangeのマイグレーションは、通常下記のような流れで実施することになります。

  1. 新規のExchange 2007サーバ用のH/Wを準備します。
  2. Exchange2007をインストールします。
  3. Exchange管理シェルMove-Mailboxにより、Exchange2003からExchange2007にメールボックスの移動を行います。

Exchangeマイグレーションにあたっての課題とは?

上記のように、マイグレーション手順自体は、決して難しい手順ではありません。それでは、実際のマイグレーションの現場では、どのような課題があるのでしょうか?冒頭のSEのような課題も含め、一般的に下記のような課題が挙げられます。

  • Move-Mailboxは時間がかかる
  • ネットワーク障害などがあると、Move-Mailboxが失敗してしまう
  • 業務への影響を考慮し、深夜や土日での作業を強いられる
  • Move-Mailbox実行後に、大量のトランザクションログが作成されてしまう

上記の課題から、「営業時間外」に、「Move-Mailboxの処理時間中」、「常に立ち会わなければならない」という構図が成り立ちます。ここで一番ポイントになってくるのが、「なぜ、Move-Mailboxは時間がかかるのか」というポイントかと思います。

Move-Mailboxコマンドは、内部的には、ネットワーク越しにMAPIプロトコルを使用してExchange2003からデータを取得し、Exchange2007へデータの格納を行っています。ただ、MAPIは決して高速なプロトコルではないため、Exchangeサーバ上に大量のデータがあればあるほど、移行に時間がかかってしまうのです。つまり、移行データが少なければ移行にもそれほど時間がかからないということになります。

実際にどれくらい時間がかかるのか?

実際に弊社のラボ環境にて、約400MBのメールボックスにおいてMove-Mailboxを実行してみました。

図のとおり、1メールボックスの移行だけで、約20分かかってしまいました。仮に平均400MBのメールボックスが1000ある企業にてこのメールボックスの移動を行った場合、単純計算で約333時間(約14日間)かかることになります。実際には高性能なサーバが使われたり、コマンドの並行実行などを使ったりするケースもあるため、一概にこの結果通りにはいかないかと思いますが、メールボックスの移行には非常に時間がかかるということをご理解いただくには十分な結果ではないでしょうか?

中略

中略

~検証環境~

VMWare ESXiサーバ上

Exchange Server 2003 Enterprise SP2
OS : Windows 2003 Enterprise SP2
2GB RAM, Intel(R) Xeon(R) CPU X3350 @2.66GHz

Exchange Server 2007 Enterprise SP1 Rollup 8
OS : Windows 2003 Enterprise SP2 x64
2GB RAM, Intel(R) Xeon(R) CPU X3350 @2.66GHz

Mimosa NearPointとは?

Mimosa NearPointとは?

ここまでExchangeのマイグレーションの話をさせていただきましたが、ここで今回連携を行うMimosa NearPointについて説明します。

NearPointは、Exchangeサーバ専用のアーカイブシステムです。NearPointでは、従来のジャーナリング方式のアーカイブとは異なり、トランザクションログシッピングという方式を使用することで、Exchangeサーバへの負荷を最小限に抑えた仕組みになっています。そのため、既存のExchange環境への導入が非常に容易です。また、アーカイブしたデータを簡単にユーザへ公開することができ(エージェントレス)、ユーザはOutlookやOWA(Outlook Web Access)から簡単にアクセスすることができます。

他にも下記のような機能や特徴があります。(製品説明は今回の趣旨から外れますので、詳細を知りたい方は、製品HPを参照ください)

  • Exchange全データを継続的に保存し、バックアップ用途にも利用可能
  • サーバ、クライアントともにエージェント不要
  • Outlook、OWAからアーカイブデータを簡単に参照・検索・復元可能
  • サーバのグリッドアーキテクチャによる優れた拡張性
  • メールボックスストレージの最適化

Mimosa NearPointとの連携によるExchangeマイグレーション方法

どのようにMimosa NearPointと連携するのか?

なぜメールデータのアーカイブ製品であるMimosa NearPointがExchangeのマイグレーションに利用できるのでしょうか?それは、アーカイブデータを監査用途だけでなく、ユーザに公開することもできるためです。また、アーカイブデータにはすべてのメールだけでなく、フォルダ構造やスケジュールなども含まれます。そのため、Mimosa NearPointのアーカイブデータがあれば、Exchange2003のデータを移行しなくても、業務に差し支えることがありません。さらに、OutlookやOWAからアーカイブアクセス用のフォルダにそのままアクセスできるため、アーカイブを参照するためにわざわざソフトやブラウザを立ち上げる必要がありませんし、ユーザ公開設定もサーバから一括でできるため、容易に公開が可能です。

Mimosa NearPointを活用したマイグレーションを実施するときの流れは、以下のようになります。

  1. 既存のExchange2003環境において、Mimosa NearPointを導入し、ユーザにアーカイブを公開します。
  2. 新規のExchange 2007サーバ用のH/Wを準備します。
  3. Exchange2007をインストールします。
  4. Mimosa NearPointで、Exchange2007の管理を開始します。
  5. Exchange管理シェルMove-Mailbox (-ConfigurationOnly)により、Exchange2003からExchange2007にメールボックスの移動を行います。

Mimosa NearPointの導入を除くと、上記で変わったのは、Move-Mailboxを-ConfigurationOnlyで実行することです。このオプションをつけると、メールボックス内のデータ移行が行われません。そのため、Move-Mailboxにかかる時間を非常に短縮することができます。マイグレーションを実施するSEへの負荷も非常に小さくなります。データ移行がなければ、仮に1000メールボックスのメールボックス移行を行っても、数時間あれば十分完了するでしょう。

また、メールボックス移行後に作成されるトランザクションログ量についても、通常のマイグレーション方式だとメールボックスの移動サイズと同量以上のトランザクションログがExchange2007上に作成されることになります(例であげた、400MBのメールボックスの場合、約800MBのトランザクションログがExchange2007上に生成されました)。そのため、もし1000メールボックスを移行すると、約800GB分のトランザクションログを確保できる領域が必要となり、一気にマイグレーションを実行するのは困難となります。一方、Mimosa NearPointと連携して-ConfigurationOnlyオプションにて移行した場合には、作成されるトランザクションログも少量で済みます(例であげた、400MBのメールボックスの場合、1ファイルも生成されませんでした)。そのため、マイグレーション時のトランザクションログ用の領域の心配も不要です。

Exchange2003で受信したデータはアーカイブを参照

上記のように移行をすると、Exchange2007メールボックス上では、Exchange2003で送受信したメールの参照ができなくなってしまいます。そこで、Mimosa NearPointのユーザによるアーカイブアクセスの機能を使用します。Exchange2003環境においてMimosa NearPointを導入していれば、Exchange2003のメールボックスに格納されていたすべてのメールボックスデータがアーカイブされることになります。そのため、OutlookやOWAからユーザは容易にExchange2003で受信していたメールを参照することができるようになります。

必要に応じて、直近のメールのみ移行したり、スケジュールや連絡先のみ移行したりするといった工夫も可能

これには、Exchange2003用ツールのExMergeを使用します。ExMergeを使用することで、特定の条件にマッチしたデータのみをPSTファイルに出力することができます。ここで出力したPSTファイルは、Exchange2007のImport-Mailbox機能を使用することで、容易にExchange2007上の各メールボックスに取り込むことができます。ExMergeの詳細な使用方法については、Microsoftのサイトを参照してください。

まとめ

ポイントを整理すると、

  • メールボックスデータの移行が発生しないため、移行の時間を削減できる
  • お客様やSEのマイグレーション作業の負荷が減り、Exchange2003と2007の並行稼働期間の短縮につながる
  • 移行時のトランザクションログ用の領域確保が少なくて済む

今回、Mimosa NearPointを活用することでExchangeのマイグレーションを効率的に実施する方法について説明させていただきました。本来のMimosa NearPointを導入する目的は、メールアーカイブのためであり、今回のようなマイグレーションのためではありません。しかし、Mimosa NearPointの特長的なところは、Exchangeシステムのアーカイブを取ることによって、マイグレーションメリットや、ユーザ公開によるユーザ生産性向上、当然のことながら監査対応といったメリットを享受できるところにあります。これまでに、監査対応のアーカイブ製品を使って、このようなソリューションを提供可能な製品があったでしょうか?ぜひ、アーカイブシステムを単なる監査対応のアーカイブのみでなく、様々なメリットに目を向け、最大限このシステムを有効活用してほしいと思います。


小池 泰治

主にセキュリティ・ネットワークのソフトウェア製品を中心に提案・導入・コンサルティングを実施しているエンジニア。Mimosa NearPointに関しては、日本での立ち上げ前から携わっており、当製品に対して豊富な知識や技術を持っている。NearPointの提案や導入実績は多数。

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