GitHub Universe 2018 参加レポート!

2018/11/08(木)

2015年から毎年開催されているGitHub Universeが今年も開催されました。GitHub UniverseはGitHub社が年に1回開催している最大規模のユーザカンファレンスです。今年は10月15日から17日の3日間にわたり、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催されました。

カンファレンスの意義

「GitHub Universe is a conference for the builders, planners, and leaders defining the future of software」これがUniverseのテーマです。
GitHub社はUniverseの参加者と「共に考え」ソフトウェア開発の未来を創っていく立場であり、カンファレンスは発見(discover)、学び(learn)、繋がり(connect)の場であるという話がありました。

最近では海外で開催されているカンファレンスの資料をウェブ上でダウンロードできたり、ライブ配信を行ったりするケースも多くなってきています。セッション内容を知りたければ、わざわざ現地に行く必要もないのでは?と思われる方も多いと思いますが、世界各国から集まっているエンジニアや多くのエコシステムパートナーとのコミュニケーション、現地の臨場感の体験は決してリモートでは実現できるものではありません。
カンファレンスを開催する意義はこういったところなのだなと、改めて感じるイベントでした。

新機能発表!目玉はGitHub Actions

カンファレンス初日の基調講演では、GitHub社のSenior Vice President Technology, Jason Warner氏が登壇しました。冒頭では2008年にGitHubのサービスがスタートしてから現在では世界各国で3100万人以上のユーザを抱える巨大なコミュニティに成長するまでに至った10年間の歴史を振り返りました。

みなさんもよくご存じであるPull Requestsの機能が2010年に発表されました。今回のUniverseでは、Pull Requestsの発表と同じくらいのインパクトを持つ機能として、GitHub Actionsの発表がありました。

GitHub Actions

GitHub Actionsとは、一言で表すと「開発者のワークフローを自動化するサービス」となります。GitHub上のイベントをトリガーにDockerのコンテナと連係するワークフローをユーザが自由にGitHub上で定義できるというものです。コードのビルドやテストの実行、クラウドへのデプロイなど、さまざまな動作を実行することができます。
GitHub Actionsはエコシステムパートナーが提供するツールを置き換えることではなく、開発チームのワークフロー全体を自動化する観点から、3rd partyのツールを補い、共存していくサービスです。
現在はGitHub.comでリミテッドベータ版がリリースされており、今後正式版のリリースやEnterprise版への適応などが進んでいく予定です。こちらのページからベータ版の参加を申し込むことが出来ます。

この他に発表された機能についても紹介していきたいと思います。

Suggested changes

Pull Requestsのコメントを通じてコードの変更を提案し、この提案をコードレビュープロセスの中で適用したり編集したりできる機能です。

GitHub Connect

GitHub.comとオンプレ版のGitHub Enterpriseの両サービスを併用するための機能です。GitHub Universeの開催と同時にリリースされたGitHub Enterprise 2.15では「Unified Search」の機能が拡張され、Business Cloudのプライベートリポジトリが検索できるようになりました。
「Unified Contribution」は両サービスを横断して自身のContributionを表示できるようになり、より正確な貢献度をプロファイル上に掲載できるようになる機能です。

セキュリティアラート機能のエンハンス

こちらは昨年のUniverseで発表されましたが、リポジトリのソースコードが依存しているプロジェクト(ライブラリ)に既知の脆弱性が存在する場合、警告を行う機能です。従来JavaScript, Ruby, Pythonに対応していましたが、今回は対象となる言語にJavaと.NETが追加されました。(.NETの追加がアナウンスされると会場から歓声が上がっていました。)

GitHub Octoverse 2018

昨年に引き続きGitHubに関連する統計情報についても、色々と面白い数字を見ることができました。GitHubのユーザ数は3100万人を超えていますが、2018年に800万人のユーザが新規に登録をしており、引き続きコミュニティが成長していることが分かります。また、Contributorsの成長率を見ると、東南アジアやアフリカ圏など新興国において大きく伸びています。GitHubユーザの80%以上が米国以外というデータもありましたが、まさに国や地域を問わずWorld-Wideに利用者が拡がっていることが分かります。ちなみにContributorsの上位ランキングを見ると、日本は8位でした。(なんとかトップ10をキープしていますね。)

開発言語のランキングではJavaScript, Java, Pythonがトップ3でした。Kotlin, HCL, TypeScriptなどが急成長しているようです。

Octoverseはウェブ上でも公開されています。GitHubに関連するさまざまな統計情報を見ることができますので、ぜひアクセスしてみてください

非IT企業における変革

Universeでは多くのGitHubユーザ企業が登壇しました。今回特に印象的だったのは非IT企業が多く登壇していたことです。基調講演に登壇したアメリカン航空では社内でハッカソンを実践し、オペレーションやサービスの改善に繋げているそうです。
また世界最大のスーパーマーケットチェーンであるウォルマートの登壇や、NASAにおけるインナーソースの取り組みなどのセッションがありました。IT/ソフトウェア以外の業種においてもGitHubの浸透が進んでいるのだと改めて実感しました。

エコシステムパートナー

会場内では今回も多くのエコシステムパートナーがコーヒーを提供するブース、展示内容とは一切関係がないラジコンを展示するブース、焼き立てワッフルを提供するブースなど、工夫を凝らしたブースを設営していました。

CI/CDツールベンダーではCircleCIやTravis CI、カンバンツールではZenHubやWaffle.ioなど、同じ分野の異なるベンダーがブースを出展しており、エコシステムパートナーの選択肢の多さを改めてうかがい知ることができました。

日本からもコードレビューの自動化ツールSiderを提供するSideCI社が出展していました。なんだか嬉しいですね。

さいごに

GitHub Universeは昨年までサンフランシスコの埠頭にある廃屋と化した倉庫で開催されていましたが、今年は1915年に造られたPalace of Fine Artsにて開催されました。古代ギリシアを思わせる壮大で歴史的な建造物であり、会場に到着しUberを降りた際には、言葉にならない感動を覚えました。

会場の中に入ると、期待通りのGitHubらしい内装となっていて、外観とのギャップが大きかったのですが、不思議と神秘的な融合を感じることができました。
GitHubのグッズを揃えたショップがあったり、オリジナルのOctocatを作成できるコーナーがあったりと、セッション以外にも見所たくさんのカンファレンスでした。
冒頭にもお話しした通り、その場にいるからこそ実現できることがたくさんあります。来年はぜひ皆さんもUniverseに参加してみては如何でしょうか?

それではまたお会いしましょう。最後までお読みいただきありがとうございました。

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