DXの軸となるデータ資産を作る! 第4回 活用されるAI技術2:商品付加情報の推定・分類

第3回では、活用されるAI技術1:商品属性情報の読取・抽出の自動化を特集しました。第4回では、前回に引き続きAIを使った課題解決で使われるAI技術(品付加情報の推定・分類)を特集していきます。

マクニカでは、フルカスタマイズAIサービスCrowdANALYTIXをご提供しており、その一つとして、商品分類・登録を自動化するAIのご提供をしております。
CrowdANALYTIX for Product Master Database(以降CAX PMD)は、商品登録業務を自動化するフルカスタマイズAIソリューションサービスです。機械学習・ディープラーニング・RPAを組み合わせ、商品の分類・属性情報の抽出・商品情報の構造化を高い精度で行います。お客様毎にデータフォーマットや抽出する商品属性、商品カテゴリは異なるため、お客様毎にカスタマイズをしながら個別のソリューション開発を行いご提供しておりますが、以下実際のソリューションの処理プロセスの一部・AI技術をご紹介いたします。

CAX PMDが出来ること

  1. 商品属性情報の読取・抽出
  2. 商品付加情報の推定・分類
  3. 商品属性情報の構造化、加工修正(後処理)

プロセス2:商品付加情報の推定

商品付加情報の推定プロセスでは、前工程で抽出した商品属性情報を使って、元々のデータに含まれていない新しい商品属性情報を付与します。

例えば、商品名や商品説明文の類似度を判断し、商品のカテゴリを推定・新しい商品属性情報として付与する処理があります。これは前工程の②属性分類AIモデルによるテキスト情報の処理と同様に、自然言語処理AIモデルを使用して、商品名・商品説明文と商品カテゴリの関連性を学習し、対象商品のカテゴリを推定し、新しい商品属性情報として付与します。文章からカテゴリを推定する処理では、前工程のテキスト情報の属性分類AIモデルに比べると、処理がより複雑になるため、学習のための十分なデータ量が必要になります。この工程で使用するAIモデルの組み合わせの一例としては、fastTextとLSTMとGRUの組み合わせ等があります。

プロセス3:商品属性情報の構造化、加工修正(後処理)

この工程では、前工程で抽出・分類した商品属性情報を加工し、構造化データとして出力します。商品画像のトリミング、回転、サイズ変更、ファイルフォーマットの変更、ファイル名の変更や、商品テキストの追加、削除、結合、フォーマット変換処理を行います。これらの後工程処理により、最終的な出力データが作成されます。

第3回、第4回で特集したAI技術はあくまで一例ですが、このような形で複数のAIモデルによるデータ処理を組み合わせることによって、商品登録業務の自動化を実現することが出来ます。今まで人手で行われてきた商品登録業務をシステム化することにより、現行の商品登録業務における工数を省力化し、組織の業務の効率化・圧倒的な生産性向上を実現します。

マクニカの提供するCAXPMDでは、様々なフォーマットのデータに対して、複数のAIモデルの組み合わせによる処理を行い、商品の分類・商品属性情報の抽出・商品情報の構造化を行います。フォーマットの種類に応じて精度の高いAIモデルの開発を行い、それらを組み合わせることによって高い精度の商品属性抽出を実現します。そのため、データに応じて順次新しいAIモデルを追加開発・拡張していくことにより、高い汎用性を実現しています。

現在のテクノロジーでは、異なるデータの前提条件(フォーマット、データ形式etc…)に応じて適切なアルゴリズムを個別に選択・適用することが、高い精度を出すAIモデルを開発する唯一の方法です。これはノーフリーランチ定理として証明がされています。そのため、当社では一つのAIモデルで汎用的に処理を行うアプローチは取っておりません。

※ノーフリーランチ定理「あらゆる問題で性能の良い汎用最適化戦略は理論上不可能であり、ある戦略が他の戦略より性能がよいのは、現に解こうとしている特定の問題に対して特殊化(専門化)されている場合のみである」
参考文献:No Free Lunch Theorems for Optimization David H. Wolpert and William G. Macready
引用:Wikipedia

第4回まとめ

第4回では、商品付加情報推定・分類で使われるAI技術等をご紹介しました。
本特集は第4回を持ちまして終了となります。小売・卸・EC業界において、商品マスタのデータは、マーケティングや売上傾向分析の基盤となる重要な資産です。マーケティング手法やデータ分析手法が高度化されていく中、自社の取扱商品数を増やしていく、商品情報を充実させていくことの重要性がますます増加しています。
商品数を効率的に増やし、一つ一つの商品情報を充実させ、データを常に最新の状態に保つ商品登録の仕組みやシステムを構築することは、多くのお客様のDXで優先的に取り組むべき領域です。これからのDXに備えて、ビジネスに大きなインパクトをもたらすAIによる商品登録業務の自動化を是非検討してみてはいかがでしょうか。

お問い合わせ先

株式会社マクニカ
CrowdANALYTIX 担当