(C)Macnica Networks Corp.
issue date: June 1,2008


トレンド

統合化に向けて大きく動く世界のセキュリティ市場



 LANchBOXの古くからの読者の方にはご記憶いただいてますでしょうか。 いつも酒の話をしたがるアイツも、すっかりオジサンになってしまった今日この頃でございます。
  久々にペンを取らせていただきます。
世界と日本のセキュリティ市場
 9,300,000,000ドル。すなわち、9.3ビリオンダラー。 これを書いている本日の為替レート(115円/USD)で計算すると9765億円になりますが、これが米国ガートナー社の2008年4月の発表に記載されている世界のセキュリティソフトウェア市場規模です。  世界と日本のセキュリティ市場

  アンチウイルスの3大メーカーの中で一番売上の小さい会社の2007年(2007年12月期)の売上が約1000億円。一方、国内で最も売上の大きいセキュリティソフトウェア製品でも2007年度(2008年3月期)の年間売上は105億円とされていいます。
(2007年ミック経済研究所調べ)  

  開発力は売上規模と市場規模で決まってくるわけで、残念ながら海外のソフトウェアメーカーと国内のソフトウェアメーカーの「開発力の差」はどんどん広がっていくことになりそうです。  

  たとえば、SafeBootというハードディスク暗号化製品。昨年11月に開発元のSafeBoot社をMcAfee社が約300億円で買収しました。これによって、McAfee社はアンチウイルスの3大メーカーの中でいち早く「暗号化ソリューション」を手に入れたわけですが、同じように、国内のセキュリティソフトウェアメーカーが「ハードディスク暗号化」をソリューションに加えたいと思っても、売上100億円にも満たない事業体で300億円のM&Aはまず不可能でしょう。  

  では、自社開発はどうでしょうか。これも非常に困難で、OS上でのプログラムを作ってきたエンジニアに、「マスターブートレコード上でセキュアに認証しつつ、セキュアにパスワードリカバリも行い、その上セクタレベルで暗号化するプログラムを脆弱性無く作れ」と言ってもそう簡単に設計できるものではないでしょう。  
暗号化ソリューションを自社開発するのはそう簡単ではない
  唯一残された手段はアライアンス、OEMですが、セキュリティベンダは全て「統合化」に向けて動き出しています。同じゴールを目指している限り、今日の見方は明日の敵であり、「競合とか言っていたらいけない時代だ」なんて生ぬるいことを言っていられるのは今のうちだけで、近い将来にその関係は破綻する危険性が高いと言わざるをえないでしょう。
同じゴール
  私がSafeBootの立ち上げに従事していた頃、代理店さんやお客さんによく言われたのは「SafeBootは集中管理できるからいいね。他のセキュリティソフトも一緒に管理できたらいいのに。メーカーにリクエストしてよ。」といったものでした。 私の答えは決まっていました。「必ずそういう時代が来ますよ。ただ、そのときはSafeBootは統合される側かも知れませんね。」

  そして、それは現実となりました。  

  McAfee社は、ePolicy Orchestrator(以下ePO)という自社製品の統合管理を行うプラットフォームを持っています。  
  既に弊社では5月に開催された情報セキュリティEXPOで、ePOとSafeBoot(McAfee Endpoint Encryptionに名称を変更)の統合の第一弾として、SafeBootの導入/未導入、暗号化ステータス、バージョンなどのレポートや、強制的なインストールを実現するバージョンのデモをお見せしました。
今後は、完全統合によりSafeBootの管理機能は全てePOで実現できるようになる予定です。

  2007年2月のガートナーのレポートでは、エンタープライズセキュリティ市場においてユーザ企業は複数製品の統合化、IT業務の合理化、複数のアプリケーションの集中管理を重視しているとしています。更に、2009年には35%の企業が統合されたセキュリティ製品を導入する、と予測しています。

  そして各社の動向を見ても、セキュリティベンダはこの同じゴールに向かって走り始めたと言えます。

  ここでは激しい開発競争が展開され、自社開発ではソリューションの拡充が図れず、今後も幾多のM&Aが展開されると思われます。
  国産のセキュリティベンダは、このM&Aを含めた開発競争にどこまでついていけるのか。ユーザ企業にとっても自社が導入する製品の将来性という意味で、十分に注意が必要かも知れません。
統合化のメリット
 2007年6月、Insight Expressが387人(ePOの顧客176人、ePO顧客以外211人)に実施したアンケート調査の結果によると、セキュリティシステムの統合化のメリットとしてこんなことが見えてきます。  
  お客様の環境や導入する製品によってデータは変わってくるとは思いますが、あくまで一例として参考にはなるのではないでしょうか。
 
統合化のメリット(参考データ)
  中堅企業
(1,000〜10,000人)
大企業
(10,000人超)
ePO ePO以外 ePO ePO以外
セキュリティ管理サーバ数 2.1台 7.2台 5.3台 10.7台
セキュリティ管理者数 7.9人 15.8人 15.3人 27.1人
管理者1人が1週間に
ITセキュリティ運用に
費やす平均時間
3.9時間 9.5時間 10.3時間 16.2時間
FTE合計 (Full Time Equivalency) 0.8人月 3.7人月 4.0人月 10.9人月
McAfee ePolicy Orchestrator(ePO)を使用した場合と使用しない場合の比較調査。
2007年6月、Insight Expressが387人(ePOの顧客176人、ePO顧客以外211人)にアンケート調査を実施。
中堅企業の平均ノード数4,100、大企業の平均ノード数46,000。
注): 実際の数値は、調査に使用した範囲の中間点から算出した
「平均値」に基づく。
(2007年6月 Insight Express調べ)

  データを見ると、社員数1,000人〜10,000人の企業においてはITセキュリティの運用工数が80%近く削減、社員数10,000人以上の企業においても60%以上の工数が削減されています。  
  これに伴って、セキュリティを管理するサーバの数、管理者の数も大幅に削減されています。  

  そのベンダのソリューションが最適かは各社の慎重な判断が必要ではあるけれど、
1. セキュリティは統合化の時代に完全に入っている
2. セキュリティは単体としてのソリューションの完成度はもちろん、統合化による管理費用の削減も重視しなければならない
3. 統合ソリューションにおいてはベンダの開発力、資金力を見極める必要がある
ということが言えると思います。
ジン・アンド・ビターズ
  みなさんはどんなお酒がお好きですか?

  19世紀の英国海軍将校が食前酒として飲んでいたらしいジン・アンド・ビターズ。 強いお酒が好きな方にはビターの苦みでひきしまった味はきっと気に入っていただけるでしょう。

 ビターズを入れたグラスを回してグラスの内側に馴染ませ、残ったビターズを捨てる。 そこに冷凍庫でキンキンに冷えたジンを注ぐだけ。氷を入れてもよいし、いれずにストレートでも。
  ただそれだけの簡単な作り方でも、バーテンの腕で味が随分違うのはビターズの馴染み具合なのか、店やその人の持つ雰囲気なのか?

ジン・アンド・ビターズ  もともと薬用酒だったアンゴスチュラ・ビターズは胃腸薬としても効果的と言われ、ジンをストレートで飲むに等しい強さにも関わらず、翌日に残らない気がします。
 外で飲むと胃腸によくても懐に優しくないので、自宅の冷凍庫でタンカレーをキンキンに冷やしております。

  ちなみに、飲みすぎたり食べ過ぎたりで体調が優れないときはミネラルウォーターにアンゴスチュラ・ビターズを数滴たらして飲んでみましょう。
これまた気のせいかも知れませんが...よく効く気がします。

 病は気から、ってことで...

 記:マクニカネットワークス株式会社 ソリューション営業統括部 第4部 部長 森 重憲



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